公的病院の経営の悪化が指摘され、病床利用率や診療収入の低い病院は規模縮小、閉鎖という方向が見られる。しかし地域医療を担う機能を任されているはずの拠点たる公的病院を利用率や収入だけで一様に削減することには大きな問題があろう。
公立病院改革ガイドラインでは、いわゆる「豪華」な病院建築が経営を圧迫しているのではないかとの指摘をもとに、低コストで病院を建設することを誘導している向きもある。しかし、公的医療機関としての責務、例えば災害拠点の使命、高度医療の提供など、地域住民の健康と医療を守るに必要な機能や設備を整え、医療者のやりがいや患者の療養環境を確保するに必要な建築仕様があろう。一方、一般に病院建築は増改築を繰り返し、建築寿命が短いと指摘される。この特性に逆らわず、イニシャルコストをかけずに短期間でスクラップする建築をつくればよいという考えも成立するであろうが、サステイナブルな建築を目指すことは、今日では重要な視点であると考える。これらを担保するために必要なコストはどのように算出されるのであろうか。
建築の質と建設費の関係はどのように考えるべきなのか、あるいは建設費はどこまで安くできるものなのか。こうした問題意識を念頭にシンポジウムを行い、問題の所在を明らかにし、課題解決のための方向性を探りたい。