2013年医療福祉建築賞 ≪準賞≫

森永産婦人科

 所在地  愛知県春日井市八事町3-46
森永産婦人科"
 病床数  19 床
延床面積  2,573 ㎡
竣工年月   2011年7月
開設者  医療法人 森永産婦人科
管理者  医療法人 森永産婦人科
設計者  九州大学大学院教授 竹下輝和
 ㈱佐藤総合計画 九州事務所
施工者  鹿島建設(株) 中部支部
東京都立川市錦町6-26-17


【選評】

年間1,200 件を超える出産を扱う地域密着型の有床診療所.高齢出産やハイリスク妊婦に対応すべく,大学病院と連携し,高度医療とアメニティの両立に取り組んでいる.
この建物の特徴は,患者のプライバシーに配慮した中待合と,スタッフが効率よく動ける動線計画にある.中待合は医療ゾーンロビーとして独立した空間を構成し,その周囲には円形の診察室や内診室が配置されている.曲線が作る柔らかな空間や家具の配置は,外来患者への配慮を感じさせ好ましい.スタッフは,1, 2階のスタッフエリアに設けた専用階段とエレベーターを利用する.これにより,分娩室や新生児室へ迅速に行き来ができ,緊急事態への対応も盤石である.分娩室の音と光によるサポートシステム,専門家による心理面に配慮した間接照明や色彩計画,地中熱採熱システムと輻射冷暖房の導入も評価できる.
中廊下型の単調な病棟構成や,デザインの統一感には改善の余地がありそうだが,地域の産科施設としての役割を果たそうとする姿勢を高く評価した.