2014年医療福祉建築賞

神戸市立医療センター中央市民病院

 所在地 兵庫県神戸市中央区港島南町2-1-1
神戸市立医療センター中央市民病院
 定員  700床
延床面積  82,185 ㎡
竣工年月  2011年6月
開設者  地方独立行政法人 神戸市民病院機構
管理者  地方独立行政法人 神戸市民病院機構
PFI事業発注者  ㈱神戸メディカルケアパートナーズ
設計者  ㈱日建設計
施工者  清水建設㈱
東京都立川市錦町6-26-17


【選評】

33年前にポートアイランドⅠ期埋立地に建設された旧病院は,病床数1,000床を誇る西日本有数の高機能病院であった.近年の医療の高度化に対応するとともに,災害拠点病院としての機能を発揮すべく,病院の移転新築が計画された.700床にダウンサイジングした新病院は,旧病院から南に僅か1キロのポートアイランドⅡ期埋立地に,2011年7月に装いも新たに竣工した.BOT方式のPFI事業を大胆に採用し,効率的な医療経営を実践している.
病棟のある高層部は十字型を二つ連ねた多翼型である.十字型の中心部にオープンカウンターのスタッフステーションを設け,そこから3方向に病室を配置することでスタッフ動線の短縮化を実現している.4床室は,将来個室化できるように,全てのベッドを窓に平行配置した「ストレート4床」である.居住性と快適性,そしてプライバシーを高めた新しい多床室を提案している.
外来部門や診療部門の構成も特徴的である.1階は救急医療と画像診断部門,2階は外来部門,3階は周産期と小児の外来と入院を集約した成育医療部門であり,機能に応じたワンフロア化を徹底している.4階の手術部門は,器材庫や洗浄室を分散配置し,中央ホールには手術機器の姿もなく,すっきりとしている.
神戸医療産業都市構想の臨床医学の核に病院は位置づけられており,周辺には医療関連施設が集まり始めている.名実ともに医療技術集積体(医療クラスター)の中心施設になりつつあり,近未来の病院像を提示した「夢と安心」を市民に感じさせる力強さを備えた病院である.