2002年医療福祉建築賞

けま喜楽苑特養棟・グループホーム棟

けま喜楽苑特養棟・グループホーム棟

 

所在地 兵庫県尼崎市食満2-22-1
定員 特養70名 GH9名×2ユニット
延床面積 4,779㎡
竣工年月 2001年3月
開設者 社会福祉法人尼崎老人福祉会
管理者 社会福祉法人尼崎老人福祉会
設計者 外山義(監修),永野建築事務所
施工者 佐藤工業㈱
写真撮影 喜多 章
【選評】

 常に時代をリードしてきた法人の運営により「施設の住宅化」を主題として計画されたもの.
 緑に囲まれながらも不整形で狭い敷地に対して豊かな表情をもつ建物であり,特養棟は北欧風の,グループホーム棟は和風の雰囲気をもった住宅化に成功している.
 個室とユニットケアからなる特養は各所の中庭が場の変化を醸し出すとともに,自然な見守りを助けている.ユニットは一部融合していて緩やかな関係づくりが図られている.モジュラー型の低い車いすを導入して個人別に調整し,他の家具・設備も低く寸法設定した結果,ADLの向上がみられているという.これが手すりをなくして住宅らしい雰囲気をつくるのに役立っている.道具・家具レベルまでに細かな心配りがされているほか,食事や入浴の設備やケア方法にも住宅づくりの理念が生きている.
 確かな運営理念と設計者の高齢者に対する暖かいまなざしが優れた生活環境として結実している.