2010年医療福祉建築賞

長岡市子育ての駅千秋「てくてく」

長岡市子育ての駅千秋「てくてく」

所在地 新潟県長岡市千秋1-99-6
延床面積 1,282 ㎡
竣工年月 2009年3月
開設者 長岡市
管理者 長岡市教育委員会子ども家庭課
設計者 ㈱長建設計事務所+長岡造形大学山下研究室
施工者 越後交通工業・池田組千秋が原南公園施設建築特定共同企業体
写真撮影 山下真理子
【選評】

 都市公園事業(国交省)として整備されたもので,制度としては公園施設であるが,それを子育て支援機能として運用している例である.都市公園の東屋,屋根付き広場として位置づけられる施設を,子育て支援という福祉サービスに使うというこの事業スキーム自体が珍しく,それを実現させた力がまずは評価される.これは自治体の企画力なのかもしれない.現に雪国としての特性などを訴えて実現させたり,空間を建築・公園・土手で構成すると言ったつくり方の実現性などは企画者としての市の推進力が大きかったことが推察される.
 こうした事業スキームをベースに,実際の利用は非常に活発であり,平日利用者は600人,休日は1,000人を超えることもあるとか.子どもと家族の双方が主役となり,この施設の中で遊ぶ様は,施設利用の一つの可能性を示唆するものである.
 ○△□という平面計画の基本エレメントは,かなり直截的なもので,違和感がないわけではないが,それぞれ教養(○部),休憩(△部),広場(□部)といった利用区分が想定され,天井高さを微妙に変えるなどの配慮や,それぞれの機能に即した空調が計画されている.
 既に一般化していると言われるだろうが,住民参加建設プロセスの徹底,その過程で培った利用を支える職員と住民の体制づくりなどが特徴であり,何より活気のある雰囲気はとても良い.
 これらは建築(設計者)だけの功績とは言い得ないかもしれないが,企画者・設計者・運用者の連携にもとづく大きな努力が実を結んだものとして建築賞とした.