2012年医療福祉建築賞
盛岡赤十字病院 緩和ケア病棟
所在地 | 岩手県盛岡市三本柳6地割1-1 |
病床数 | 22床 |
延床面積 | 1,580 ㎡ |
竣工年月 | 2009年4月 |
開設者 | 日本赤十字社岩手県支部 |
管理者 | 盛岡赤十字病院 |
設計者 | ㈱日建設計 |
施工者 | 大成建設㈱ 東北支店 |
写真撮影 | 篠澤建築写真事務所 |
【選評】
広い敷地の雑木林に面した平家建て20室の緩和ケア専門病棟である.既存病棟最上階に企画した時期もあったが広い敷地と樹林の環境を生かした計画としたという説明の通り,内外とも環境を生かしたきめ細かい完成度の高い施設となっている.
「もう一つのわが家」というコンセプトで,全体構成から調度品・看護まで演出する工夫が随所に見られた.病室への監視感がないが動線的に配慮されたナースステーションの配置,落ち着いたエントランスホール,家族の会食などに利用される2つの食堂,廊下等に置かれた選び抜かれた家具がハイレベルのわが家を演出している.また,患者および関係者から寄贈されたピアノはじめ諸作品が各所に配置され,患者と病院の信頼関係も感じることができた.病室は全個室でゆったりしたしつらえで,入口上部のハイサイドが勾配天井に軟らかい光を演出し,間接照明化したペンダント照明は施設臭さを防いでいる.病室内の便所の広さ・しつらえも充分な配慮があった.何よりも四季を感じるであろう周りの庭園によく溶け込んでいた.
今回唯一の施設側からの応募であったことからも推測されるように,スタッフが誇りと自信を持って運営がなされている様子も充分に感じられ,計画密度・運営の気配りの点でたいへん優れていると判断された.また,本院が第1回建築賞を受賞しており,引き続きの受賞を希望されての応募であり,本賞の歴史と社会的評価を知ることになった.