2018年医療福祉建築賞
B’s・行善寺
所在地 | 石川県白山市北安田町548-2 |
延床面積 | 4,704 ㎡ |
竣工年月 | 2016年9月 |
開設者 | 社会福祉法人 佛子園 |
管理者 | 社会福祉法人 佛子園 |
設計者 | ㈱五井建築研究所 |
施工者 | ㈱豊蔵組 |
【選評】
障がい者の通所ケアやショートステイ,高齢者デイサービス,児童発達支援や放課後デイサービス,保育園,クリニック,天然温泉,レストラン,フィットネスジム,温水プール,花屋など,福祉や健康増進に関わる多様な施設が公園を取り囲みながら一つの建築の中に共存している.規模は大きいが,建物のボリュームを小さく分割したことで,周囲の住宅地のスケールや隣接する行善寺の庭園や趣とも調和している.周辺には法人が運営する障がい者のグループホームが点在しており,この複合施設は障がい者にとっ てケアの場にも就労の場にもなっている.子どもや高齢者,地域住民や障がい者が「ごちゃまぜ」になって利用する施設を目指し,建築は開放的な構えをとっており,敷地へのアクセスや建物のエントランスは複数設けられ,自由に出入りできる.各施設の仕切りには透明ガラスが多用され,視覚的な連続性があり,様々なアクティビティが共存していることが感じられる.各施設は様々なスケールの多様な居場所が存在する空間構成となっており,物理的な死角があっても,動線を交差させることで,どこにも人の目があ る状態をつくり出している.障がい者の就労や介護を専門家やボランティアだけで継続するのは困難だが,多様な機能の施設を多様な人々が「ごちゃまぜ」になって利用するビジネスとして成立させ,地域に賑わいや健康をもたらしながら,障がい者が職員だけでなく地域住民や利用者からも自然に見守られる環境を実現している.