2008年医療福祉建築賞
熊本県こども総合療育センター
所在地 | 熊本県宇城市松橋町豊橋2900 |
病床数 | 60床 |
延床面積 | 8,062㎡ |
竣工年月 | 2005年9月 |
開設者 | 熊本県 |
管理者 | 熊本県 |
設計者 | ㈱日建設計 設計監修:山脇博紀 通園棟実施設計監理:大和設計㈱ 厨房棟実施設計監理:ケイ建築設計事務所 |
施工者 | ㈱高橋建設ほか |
写真撮影 | SS九州 |
【選評】
こども総合療育センターは,外来棟,訓練棟,入所棟,通園棟,厨房棟の5棟により構成される熊本県における療育・療育支援の中心施設である.入所棟はさらに,医療棟,生活棟(床・車椅子),母子棟により構成され,ユニットケアを肢体不自由児施設に適用している.また,床上生活が主となる児童のための,一段高くなったスペースや,成長や様々な障害の程度に対応できる種々の形状や高さを持った洗面台・トイレ,肢体不自由があっても体を安定させやすい切込みを持つ家具設計などユニットケアとしての設えに加え,最適な療養が行なえるようなディテールの工夫がなされている.
さらに例えば心理療法室では,利用者が空間の変化に参加している.入居室でも自閉症児のための細かな間仕切りが造りこまれ,最適なスペースへと変化している.建物が成長続けることを実感させてくれる施設である.
ユニットケアの採用によりスタッフのケアの手法や意識の変化が生まれ,それにより施設の利用の仕方も変わってくるといった,施設とその運用がスパイラルアップしていく関係にあるように感じられた.これは,変化のきっかけとなる形態を施設が提供し,この成長を可能にする懐の深い計画であった成果と考えられる.