2018年医療福祉建築賞

すみれ乳児院

すみれ乳児院

所在地 栃木県小山市三峰2-1039-6
延床面積 904 ㎡
竣工年月 2016年8月
開設者 社会福祉法人 豊心会
管理者 社会福祉法人 豊心会
設計者 ㈲アトリエ慶野正司一級建築士事務所
施工者 ㈱板橋組
写真撮影 新建築社写真部
【選評】

 乳児院という一般にはあまり知られていない施設の秀作である.乳児院は親に代わって1歳まで乳児を養育する施設であるが,実際にはそれまでに実の親や里親に引き取られないこともあるため,小学校に入ってからも暮らすことがある.そのため,乳児に留まらない多様な子どもの生活環境が求められ,設計の方針が定めにくい建物種別である.
 外観からディテールまで,家を体験させる施設として切妻の家形にするという単純な造形論理で構成されているが,周辺の住宅と呼応して違和感がない.また,外装に木材,ガルバリウム鋼板,アスファルトシートなど多様な材料を用いることで,同じような家の連続にならないよう賑やかさを演出している.
 セキュリティが重視されるが,外部と内部がお互いに垣間見えるよう,窓やデッキテラス,さらにその外側の壁の3層を通じて外部とつながる工夫をしている.加えて,玄関を挟んで南側を園庭と多目的ホールにして地域開放している.北側の乳児院はロの字で中庭を囲み,プールなどプライベートな外遊びを確保している.
 室内は乳幼児が2ユニット,それ以上の年齢が2ユニットを持ち,それぞれの2ユニットは夜間の1名見守りに対応できるよう,引き戸を開けると1室になる.廊下や中庭,共用保育室をある程度自由に移動できるようにしたため,子どもがそれぞれのペースで過ごしている.
 厨房をガラス張りにして調理を見せることで,ままごとができるようになったというのが,家の役割を果たしている何よりの証左である.