2021年医療福祉建築賞
神戸アイセンター
所在地 | 兵庫県神戸市中央区港島南町2-1-8 |
延床面積 | 8,583 ㎡ |
竣工年月 | 2017年11月 |
開設者 | 地方独立行政法人神戸市民病院機構/公益社団法人 NEXTVISION ㈱ビジョンケア/公益社団法人神戸医療産業都市推進機構 |
管理者 | 地方独立行政法人神戸市民病院機構 |
設計者 | ㈱日本設計 |
施工者 | 明和・関建特定建設工事共同企業体 |
【選評】
本病院は視覚に疾患や障害をもつ患者に対して,眼科領域の基礎研究から治療,そして社会復帰支援まで対応する施設である.IPS 細胞(網膜移植)研究から眼科患者外来・入院,視覚障害者の生活やリハビリ・就労支援,地域への啓発活動など幅広く活動を実施している点が特徴である.
2階のメインエントランスではガラス張り吹き抜けの明るく自由なムードが漂う「ビジョンパーク」が迎える.スポーツクライミング,自動車運転シミュレーションやバリアとしての段差を意図的に造り込み,それを家具などと組み合わせて空間構成するなど様々な要素が工夫されている.受付会計や一般総合相談等とスペースは共有され,誰もが同じ空間にいる開放区のような様相で包括的雰囲気をつくっている.
動線を短くしコンパクトでわかりやすい平面構成,外部の光の取り入れ方や素材に工夫を凝らしたサインの情報伝達,室内色彩のコントラストやQR コードを利用したデジタルサインの導入など新しい試みも行っている.視覚障害者などを含めてワークショップを重ねながら検討を重ねた設計手法も好感が持てる.
このようなワンストップセンター的な総合医療機関が全国各地域の実情に応じて展開されていくことを期待したい.